文法とは
文法は嫌われたり、もてはやされたり、英語学習で必ず話題になるトピックです。
最近の英語学習本の販売ランキング上位にも文法関連書は常連です。
色んな英語学習成功者も文法の大切さは強調します。
一方で英文法はいらない、というトピックも人気ですね。
ここでは英語を使うために必要な文法を項目別にミニ講座の形にまとめたいと思います。
第一弾はそもそも「文法とは」です。
そこからどう「英語学習に活用していくのか」についてです。
さて、文法とはいったい何でしょうか。
外国語習得においては「語彙」「発音」と並んで、
文法は語学の三大要素の1つとされているのが文法です。
文法については学校で練習問題をたくさんするイメージが強いでしょうか。
「文法って言葉のルール?」
「誰が決めたルール?」
「必ずルールには従うの?」
という疑問に答えていきましょう。
まず文法は「ネイティブスピーカー」が言葉を使うときの「常識」です。
絶対不変のルールではありません!!
常識って時代とともに、また場面によって変わったりこともありますよね?
なので実際英語の文法も時代とともに変化をしますし、これまでもしてきました。
英語に限らず日本語でも「ら」抜き言葉や、
単語の使いかたでよく起こります。
例えこれまで文法書で「間違った英文」とされる英語も、
多数のネイティブスピーカー(NS)が普通に使うようになった時点で「正しい文法」です。
代表例が
There is 複数形.
There's a lot of people in the bar.
のような文ですね。
ほとんどのNSが普通に使うし、許容しています。
一部の文法では「口うるさい人だけ」が気にしているものもあります。
例えば仮定法でbe 動詞をwereにするとか、関係詞のwhomがあります。
日本語だと、お金を「預かる」とか「よろしかったでしょうか」や「敷居が高い」の
使い方についてこだわる人がいますね。
このような例を「間違った文法」ととらえるか、「新しい用法」ととらえるかで、
大きな違いがあります。
私は「新しい用法派」で、大多数のNSが使っている英語を否定する理由が
理解できません。
ただし一個人のNSが使っているだけなら、慎重になります。
複数のNSに確認するか、コーパスなどでデータを調べたりします。
話を戻します。
文法はNSが使う英文の「常識」です。
変化はあるものの、「常識」を学ぶことは効率的な学習につながる、
というのが私の考えです。
自分の理解も進むし、相手にも理解されやすくなるからです。
しかし文法は絶対ではありません。
そもそも世界中の大多数のNSの使う英語そのものが「文法」なので、
その説明には限度があります。
「世の中のNSが話す言葉で常識とされていること」
→そのうち「分析で説明可能なこと」
→そのなかで「教師(または本の著者)が理解していること」
→そのうち「学習者が理解できること」
下に進むほど範囲が狭くなっていますね。
このように我々学習者が理解できる文法にはたくさんの制限があります。
つまり
「完璧な文法は存在しない」
「多数のNSが使う英語が正しい」
「正しい文法の完全習得はあり得ない」
⇒ならば誤解の少ない文法の習得を目指す!
というマインドセットが重要となります。
「文法をマスター」って不可能なんです。解明されていないことが多すぎるので。
「その本の内容に限って」「試験に出る範囲で」なら可能ですが。
学習者の学ぶ文法は「こう使うと間違いにくいよ」の集合体で、完全であり得ないです。
そしてこの限られた意味での「文法」は集中して身に付けると効率的です。
文法を間違えるとどうなるの?
ほとんどの場合文法ミスは実際のコミュニケーションには大きく影響しません。
特に他の表現で補足できるときはそうなります。
一方で間違えると全く理解されないミスもあります。
そう、文法項目によって重要度がまったく違うんです!
I study English yesterday.
Yesterday があるからedなくても100%理解できる。→影響少ない。
Matsui likes Ichiro.
Ichiro likes Matsui.
一方こちらは語順が違うだけで意味が全く異なる→影響が甚大ですね。
Matsui like Ichiro
としても意味上の影響がないことと対照的です。
She has three dog.
She has three dogs.
→意味は完全に通じるので形の影響なし。
I play tennis.
I am playing tennis.
意味が全く違うので使い分けが必要。
I play tennis now.
I am playing tennis.
伝える内容が同じなのでどちらでも意味は通じる。
このように特に会話では文脈を補うことで、
文法機能を補助することができます。
実際の会話では正確性よりスムーズが重要なので、
意味が伝われば文法のミスは多めになります。
一方、時間のあるライティングでは、
↑の英語は非常にブロークンな印象を与えます。
このように話し言葉と書き言葉では許容される文法ミスに違いがあることを知ると、
日本人の陥りやすい「正確性の呪縛」から解き放たれることができます。
※正しい英語を意識しすぎて何も話せない状態
文法ってなに?単語とどう違う?
文法とは語順と語の形の変化のことです。
「語順が変われば質問」、「動詞にedを付ければ過去のこと」、
のように語順と形の変化で意味が変わります。
一方で単語はそのものが意味を持っている点が違いますね。
正しく文法を使えば、補足情報なしで意図を理解できます。
しかし実際のコミュニケーションではスピードも正確性と同じくらい重要なので、
会話では理解が問題ない限り、正確性が落ちることはある程度許容されます。
完全な文法使用を意識しすぎる必要はないのですが、
なるべく正しい文法の使用をすると、
誤解なくコミュニケーションをとることができます。
一方で学習者にとって「正しくあろう」とする姿勢が不可欠ですが、
文法的に説明できないことが実際の言語使用には大量にあります。
多くのインプットに触れて都度修正していく柔軟性が上達への近道です。
さらに言語習得の研究では
「間違い」→「気づき」→「修正」→「再度使う」
という過程が上達に「不可欠」とされています。
つまり間違いなくして上達なし!
どんな文法をどう学ぶ?
一方で語順についてはかなり厳格に制限されます。
語順の間違いがあると相手は何を言っているか
全く理解できない状態になることもあります。
そう考えると「文型を中心とした語順」と、
「動詞の変化と使い方」が英語の核といえます。
動詞の変化ではその項目を
「どんな場面で使用するか、どんな気持ちで使うか」
を理解することでスムーズに使えるようになります。
このHPでは学習者が理解しにくい、誤解しやすい項目について
「どんな場面で」「どの項目が使われるか」
を次回以降のミニ講座ではご紹介します。
ミニ講座を活用して、有効に文法を使えるようにしていただければ幸いです。