数字で見るTOEIC:誰に必要?スコアの傾向は?
TOEICを日本で運営するIIBCより受講者アンケート結果が発表されました。
今回はアンケート結果からTOEICを受ける人は
どんな人が多いのかを分析していきましょう。
またそこから見える、求められるスコアも考察します。
世界全体での結果ですので必ずしも日本に当てはまらない可能性はあります。
一応、日本と韓国が主な実施国とされています。
TOEICは学生が最も受けている
受講者全体の55%をフルタイムの学生が占めています。
また33%がフルタイムの社会人です。
受講年齢は21~25歳が44%で割合1位。
続いて20歳以下が20%、26~30歳が15%と続きます。
職種は科学・技術系が25%で1位でした。
受講目的は英語学習のためが29%、卒業が28%、就職活動が24%。
ここから推測できることは以下の通りです。
・高校・大学・大学院生がTOEICのメイン受講層
→そのなかで特に大学生と予想します。
高校は英検主流ですし、大学生は学校で強制受験もありそうです。
・大学生でも就職活動など卒業前に利用する層が多い
→21~25歳が多い上、大学院生より大学生のほうが絶対数が多いため
就職活動開始前に駆け込み受験をしているのでは。
また卒業の要件にしている学校もあるようです。
必修単位認定に使用されているかもしれません。
・社会人は転職組が受けている
→21歳~30歳で60%の受講率です。
そこら学生を除けば転職の適齢です。
・特に技術職では就職後も英語が必要
→仕様書確認や海外取引先とのやりとりが多い職種です。
いかがでしょうか。
だいたい予想通りでしょうか?
個人的にはもっと社会人が多いと思っていました。
全体の3割は意外です。
逆に就職・転職活動でのTOEICの需要はすごいですね。
履歴書におけるTOEICの威力を改めて実感しました。
また仕事では理系の方のほうが英語を必要とすることが多いようです。
これは割と実感通りです。
話すことは少なくても、メールのやりとりや
仕様書、特許の確認など、英語が必要な機会がたくさんあります。
まとめましょう。
TOEICは就職活動前の大学生、転職活動の社会人、技術職の社会人、
に特に必要とされるテストです。
理系の学生は早い段階から取り組むといいでしょうね。
スコアからわかること
どの国のデータでもリスニングのほうがリーディングより高いです。
ざっくり40点ほど差があります。
日本では平均で60点の差がありました。
TOEICはリスニングがとりやすい試験です。
理由はいくつかありますが、
設問の難易度と時間配分が大きな理由と考えます。
逆にLとRで差がほとんどない方はチャンスです。
しっかりとリスニングのトレーニングをすれば、
一気に100点くらいスコアが伸びる可能性があります。
(→リスニング学習はこちら)
面白いのは女性のほうがLのスコアが高い点です。
指導経験からも女性のほうが発音が上手い人が多いです。
言語習得の研究でも女性のほうが語学が出来る人が多いそうです。
男性はリスニング主体の学習を特に意識しましょう。
ちなみに日本の平均スコアが561点でした。
言語的に同じくらい英語と異なる韓国で675点でした。
100点の差はなかなか衝撃的です。
LとRの差は韓国で70点差。
公教育で耳からの英語学習が多いのでしょうか。
比較検討をしたいところです。
TOEICで必要なスコアは
IIBCの別の記事では企業が求めるスコアについても調査がありました。
(→IIBCの記事はこちら)
受験者が実際にキャリアップで役に立ったと答えたスコアが600点以上、
人事担当の回答も600点以上が回答最多とのこと。
一般的な企業では600点が1つの基準になりそうです。
一方で「英語を仕事で使う人」目線の数字は
海外転勤635点、海外部門での採用は690点でした。
私が転職活動していたときは採用条件で
730点/860点以上を求める求人が多い印象です。
次に英語教師に求められるスコアを確認しましょう。
基本的に教員は英検準1級が基準ですが、
TOEICでは中学730点、高校860点の基準が多いようです。
都道府県で異なりますが、採用試験で優遇があります。
また採用面でなく実際に英語を仕事で利用する方の
調査も実施されています。
回答数は7354人。2010年と少し古いですが。
「企業が求める英語力(小池ら2010)」
ここではプレゼン力、交渉力、TOEICは最低800点となっています。
これ割と私の実感に合っています。
TOEIC800点は試験が時間以内に終わる目安です。
仕事で英語を使うときには何より速さが必要です。
英語の処理速度を測るのに800点は分かりやすい尺度です。
また少し時間がかかりますが、Eメールを誤解なく書ける
英語力の目安でもあります。
英語教員に必要な英語力の目安ともほぼ合致しますね。
ちなみにTOEIC800点は「学習者→使用者」の目安でもあります。
IIBCの調査でも800点以上の方は
会話や多読多聴などより実践的な学びをしているようです。
語彙やリスニングで太刀打ちできない状況が
減り始める頃でもありますね。
TOEIC800点は「なんとか英語で仕事が出来る」目安です。
実際には900点を超えても苦労することは多いでしょう。
特に周りから「めっちゃ出来る人」と思われるので、
そのギャップが苦しい時期です。
まとめます。
学生の就活や転職活動では600点が目安です。
もちろん高いほうがより目立ちます。
英語を使う仕事の場合は800点が目安です。
この場合は「使う英語」も伸ばしましょう。
資格試験はあくまで目安ですが、
数字の説得力は強力です。
目的に合わせて資格試験を英語学習に活用しましょう!